耐震強度の偽造問題から違法建築雑感

 今回の事件を擁護するつもりはないがなんか日本の現状をとてもよく現している事件と思う。ギリギリというのがキーワードか。コスト削減が極限まで進みどこもこれ以上無理という所まで来たとき、その中から他社より有利に事を運ぼうとすれば違法な方法を取るところが現れても不思議ではない。よくバブルの頃に建てられた建物はお買い得という話もある。それは全てに余裕があって部品や建材がとても贅沢でよって丈夫ということらしい。都市伝説かもしれないし確証もないけど。とにかくあらゆる業界でギリギリの商売が行われていろいろなものが切り捨てられている。ま、コスト削減といってもけっこう無駄はあるものだが、大体一律削減だからこの辺が限界なのだ。
 この件で古くからの商習慣の現実という意見をネットでも見かける。改革がすすんで自民党は変わった、利益誘導型政治の終焉といっても人間のやること考えることは変わらない。基本の部分は変わらないのに表面だけ変えても何も変わらない。仕事が減ればどういう条件でも引き受けてしまうという心理。流されて真面目に生きているととんでもない事をやらされてしまう世の中だ。それなら何もしないほうがましだということにも真理はある。こんな安い値段でやってらんねぇよ、とみんなが仕事を投げてしまえばこんな悲劇は起こらないのである。ちょっと単純化しすぎた。世の中はもっとややこしくて見えないものだ。しかしこの十年位は建設はちょっとしたバブルではなかったか。不景気の中住宅建設だけが景気の下支えと言われ、住宅購入者の減税措置もあった。そうしたなかコスト競争が進みそのひずみに遂に耐えられなくなったのだろう。