水について

  この地球上で最も安定している物質の一つが水である。しかしこの水は相当不安定な物質、水素と酸素が結びついたものだ。水素は直ぐ燃え出す危険がありヒンデンブルグ号の悲劇を呼び覚ます。酸素もまたあらゆる物質と結びつき錆びさせたり変色させたりとあらゆる物質を酸化させる。しかしこの二つの物質の反応は化学的には一番激しい部類に入るものでロケットの打ち上げにも使われている。このように最も激しいもの同士が結びついて最も安定した物質になるというのも水の神秘性を讃えているようだ。日本では古来より水に対する信仰が厚く水を奉る場所は全国にある。これが「水からの伝言」をここまで蔓延させた土壌である。何だかんだ言っても日本人の水信仰は根強い。そこを見ないでただ非科学的だと言っても反応は鈍いわけである。非科学的だけを言ったら全国の水信仰を敵に回す事になりかねない。だから水信仰と「水からの伝言」を分離させなければならない。というか「水からの伝言」は科学を装った水信仰そのものである。裏の内職を見れば水信仰商売そのままである。
  いや、だから水信仰なんだから仕方がないよこれだけ蔓延してもそういう土壌に日本はあったという事なんだ。だから騙されて科学として信じているわけではないと安心するとか。
  いやいやこれが道徳の根拠として使われるという事はそもそも道徳の根拠が他に見いだせないという事実の方を重要視すべきだ。道徳を守らせる基準としてこれまでの人類の歴史にまつわる故事よりも結晶という分かりやすさを選択したという事。これは人類の文化が鉱物世界に敗退した事を意味するのだ。結晶世界の侵略が開始されたのである。人類絶滅の危機であると同時に生物の危機なのである。