水からの伝言と鏡の法則が気になる

 鏡の法則もネットでワッと広まって気がついたらベストセラーにまでなっている。ネットであれだけ批判されたのだからよもやリアルの世界でそのような事態になるなんて思いもしなかったが、まだまだネットとリアルの断絶を思い知るのだった。というかネットで手応えを掴んだから出版にこぎ着けたわけで、ネットで話題になったという事が成功を約束していたのかもしれない。自分の視点が批判意見ばかりを見えていたに過ぎず実際には支持する人も相当多くいたのだろう。
 で、科学側からの反論も疑似科学、偽科学批判として盛り上がって来ているわけですが、私としてはなぜそういうものが流行するかの方が興味深い。これは現代社会の客観主義、実証主義優先に人々がいい加減飽きて来たというかうんざりして来た事の証のような気がします。効率優先、データはそれを示している。マーケティングはこう対処しなければならない。そんな中で自分の想いは無視され続け精神が疲弊してしまった。そんな中で水からの伝言を見てこんな不思議な事があるんだとすっと心の中に入ってしまう、鏡の法則をみてそういう事もあるかもしれないと納得してしまう。
 だから科学の面からそれはどうして非科学的かを口を酸っぱくして声高に主張しても人々の心には響かないのです。これには別の切り口が必要そうです。現代社会が見失ったものに光を当てなければこの状況は変わる事無く、いやこれからもっともっととんでもない偽科学が蔓延するような気がします。それは人々に安らぎや安心を与えるようなやり方でやって来るでしょう。その時科学がいくらその非科学的な部分を非難しても無効になる可能性が高いです。人々はそこに科学を求めているのではなく心の在り方を求めているからです。特に明確な宗教を持たない日本ではその危険が高いのかもしれません。そうするとこの傾向はもっと大きな危険を齎す萌芽なのかもしれません。それまでに社会が人間の在り方をもっともっと肯定できる論理を用意できなくてはならないのかもしれません。
ニセ科学入門