生まれて来てすいませんシミュレーション

どう考えても余計者でした。これ以上皆様方にご迷惑をかける事は忍びなく耐えられるものでないことに気づきました。この世界に私の居場所はありません。ここはひとつひっそりと一人静かに消え行くのみが正しい行いなのでしょう。しかしそれでは何の為に生まれて来たのか納得ができません。そこで私の存在を許さなかったこの世界も一緒に消えてしまうというアイデアに打ち震えました。そんな事をしても許されるのだろうか。しかしその前にだいたい実現可能なアイデアなのかという事を検討しなければなりません。世界を消滅させるような強力な手段が手の内にあるのだろうか。どう考えてもあるように思えません。平凡な一人の人間がそのような手段を持ち合わせていたら世界は何回滅んでいたか分りません。そういうのは世界の最高機密、米軍でさえ持ち合わせているか分らないくらいですから。どう考えても無理。
 ならば改心して悔い改めて自分を変えてみたらどうかという提案はあっさり却下されなければなりません。なぜなら今でもまったくそう思っていないからです。そのような人間はやはり一人死んでいくほか手はないのかもしれません。そうやって何処かに命を預けた人間が余命くすぶらせて生きているのがこの世界を構成しているのかもしれない。こういうのもどこかで物語にかすめ取られた人生観なのかもしれないな。