SF消失

消えたSFを追って。SFはどこに消えた。1990年バブル崩壊とともにSFが行方不明になったというのは余り知られていない事実であるというのはウソ。けれどSFが書かれなくなったのは事実である。既に80年代に末期的症状呈していたけれどそれでも電脳界などに新作を見出す事はあった。しかしそれも最後のあだ花のようにこつ然と消えてしまったと言っても過言でもない。一体どこへ消えてしまったのか。またそれはなぜ。これの教科書的解答は人々にSF的な考えが広く行き渡ってしまって一般の作品にも幅広く取り込まれてしまったというものだろう。まぁ宮部みゆきの作品を見てもそういう事は現われているが。つまり此処彼処に広く行き渡って吸収されてしまったという解釈でよろしゅうござんすか。
まだ月世界旅行や海底2万里の頃はSFというジャンルは確立していなかったと思うが文学表現の中でもルール違反という扱いを受けて決して本流に合流できなかった。SFという特別なジャンルに押し込まれてパルプ雑誌という不当な扱いを受けて育てられてきた。それが受け入れられたからジャンルが消えてしまうというのは当然の結果なのだった。SFという扱いが不当な差別の囲いだったのだから。