おまえはもう知っている

あなたが面白いと感じるものはあなたが既に知っている事にすぎない。殆どの事は柳の下の二匹目のドジョウであり二番煎じでデジャヴでしかない。私たちが物を分かるのは毎日通る道だから既に右に曲がればパン屋があり左に曲がればコンビニがある事を知っているからだ。はじめて来た街で何がどこにあるのか分からない状態が未知の状態に近いけど同じ日本の街ならだいたい察しが付くというのはある。私たちが本当に知らないものに出会ったらそれが何であるのかも分からず、泣いていいのか笑っていいのか怖れていいのか喜んでいいのか分からないのである。だから面白い本というのは残念でした同じ本を買ってしまいましたね。それは固有名詞を差し替えただけの商業主義が生産する安直な量産本にすぎない。ハリウッドの映画もしかり。なんで人は既に知っていることをそれ程求めるのか。それが快感だから。まぁそれは何度でもメロドラマに涙する事と同じなのだが。そこに安心できる既定の回路があるのだが。そこに安住していると焼きついてしまうという事もある。新しいことを知るということは疲れるし恐ろしいことでもあるのだから。