知識と才能

才能がある奴には敵わない、とは古今東西から常識のように伝えられて来たのかもしれない。才能ある奴は何の努力もせずに自分の好きな事だけをやってあっさりのし上がってしまう。まったく世の中は何て不公平なんだ。我々普通人にできる事は才能ある人をできるだけサポートしてあげて足を引っ張らない事だけだ。でこの才能ある人々にどうやって普通人は対抗できるのかというとせいぜい知識を溜め込むぐらいしかできない。それでもいざ相見えるならば圧倒的に大差で負けてしまう。そういうものである。目の付けどころが違うんです。次元の違う戦いにしかならんのです。だから本を読む奴なんて自分に才能が無いという事を言いふらしているに等しい。本当に才能ある奴は本なんて読まない。何の努力もしない。だって最初から備わっているんだから何もする必要がないんです。
 自分に才能が無い人は才能に憧れ、嫉妬し、コンプレックスに悩み、その代償として知識を求める。知識で武装して才能に対抗しようとする。しかしいくら知識をコレクションしてもその人は既存の知識からは一歩も踏み出せない。知識を取り入れる事ができてもそれを組み替える能力がないからだ。それを才能ある人はいとも簡単にやってのけてしまう。逆立ちしたって敵わない。まったくそういう人を目の当たりにしたら自分なんて... と思ってしまうだろう。そして憧れ、あるいは憎しむ。努力なんて無駄さ、なんて言っても一体何ができる。私達普通人はせいぜい知識を纏って足下に縋り付くぐらいである。