なぜか記憶に残っている映画

 子供の頃たまたまテレビで見ていた映画で今でも印象に残っているものが二つある。その後何回か思い出しているのでその度記憶が補強されているのだろう。一つはモノクロの脱獄映画で殆ど牢獄の中しか出てこない地味な映画だ。一枚の板を外して毎日穴を掘る。看守が見回り来る頃は何事もないように装っていなければならない。ちょっとしたミスで思わずばれそうになりそうな瞬間にドキドキしたり、だんだんと掘り進むトンネルにワクワクしたのを覚えている。ホントこれだけの映画なのだがなぜか面白いと感じた。なのに子供だったので睡魔に勝てず最後まで見ていられなくて寝てしまいどういう結末か知らないのだ。けれど、だから記憶に強く残っているのかもしれない。あのストーリーではどう考えても最後は脱獄に成功すると信じているのだが、どうだろう。そういう幻想が見られたことが幸せだったのか。
 もう一つは多分イタリアのB級映画っぽいやつで007にインスピレーションを得たような映画だった。主人公は若いかっこいい男なのだがそれをバックアップする中年の男がいい味を出していて口癖に「この世に大事なものは二つある」と言う。だけど一つは忘れた。「○○とタイミングだ」と言う。映画の最後に一件落着して主人公が女の子とうまくいくのだが、遠くから見ていた中年の男がつぶやくのだ、な、タイミングが大事だろ、と言ってエンドマークが出るのだが、その終わり方も含めてかっこいいと思ったものだった。
あぁ、映画って本当にいいものですね、それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。