そうはいっても

そうはいってもマルチェロだって都会に夢と大志を抱いて出てきたのではないか。文学という希望を抱いて。作家になるのが夢だったはず。しかしそれでは食っていけず、ゴシップ記者に身を落とす。そうやって自堕落な生活を送りながらもいつか自分も作家になる事を捨てきれずに友人の成功した作家にあこがれを抱いていた。友人の家に招かれて、これこそが人生だとの思いを新たにし作品を書こうとするが進まない。そこに店の手伝いに来ている少女に出会う。彼女はいつも自分の回りにいる女たちとは違う無垢の存在。結局作品は書けず月日が経ったある日あの友人が自殺したと知らされる。子供たちも巻き込んだ心中事件だった。彼の唯一の心のよりどころも失い破天荒な乱痴気パーティーに繰り出す彼。ハチャメチャな宴の後、夜は明けて海風を浴びに人々は外に繰り出す。浜辺には大きな魚が引き上げられている所でちょっとした盛り上がりとなった。そこに例の少女が小川を挟んで現れマルチェロに声をかける。しかし波の音で言葉は聞き取れない。少女は微笑みを返すばかり。