海辺のカフカは今までの集大成という側面がなくはないがアフターダークはまるで違う

もちろんアンダーグラウンドでの多くのインタビューという経験があっての所産かもしれない。しかしこれはまるで村上春樹じゃないなと言っても可能かもしれない。まるでどっかの新人の新作といって出されても納得してしまうくらい違う作品に見える。あれだけハルキカラーが強かった作風からあの歳でここまで変えられるというのは海辺のカフカでこれまでのカラーを出し切ってしまったという感じでもあるのと同時に新たな切り口を求めているような。まだまだこの世界を書き記して行きたいという意欲の表れなのだろう。そういう意味ではこれからも期待を裏切り続ける作家であるような気もする。これだけの固定ファンを獲得した人間がそこまでする事は珍しい事なのかもしれない。変わらないのは章事に違う場面が同時進行して行くような所。これはもう初期の作品からしばしば見られる作風でそういう意味では変わってないな。