歯が痛くて途方に暮れる

ここ2〜3年来私を悩ましてきた歯痛の顛末。解決したのは難問を解いたのでも天啓が下ったわけでも何でもない。ある日歯が割れたのである。といっても本物じゃなくて銀の詰め物が割れて取れてしまったのだ。その頃は歯痛も収まっていて歯の治療も終わっていたので、また歯医者に行かなくてはならないのは面倒だなとは思ったものの兎に角歯に穴が開いては食べるのにも苦労するので直ぐに歯医者に電話して夕方行くことなった。
 歯医者で分かった事はその歯はもう神経が死んでいるらしい事。結局は虫歯が進行して大きな穴が開いて銀の詰め物が蓋のような状態になって空洞になったから地盤沈下のような感じで銀の詰め物が割れてしまったらしいのだ。ここまでなるのに痛みか何かあるはずなんですがと歯医者に言われたときピーンと来たのだ。ここ2〜3年の歯痛はこの歯が原因だったのだ。後から考えると全てが納得がいく。あの頃缶コーヒーを飲むとその後必ず痛くなること。これは銀と歯の隙間に缶コーヒーの糖分の高い液体が染み込み虫歯を進行させて痛みが出ていたのだな。しかし銀の詰め物のせいで外からは虫歯の進行が分からない。このせいで正確にどの歯が痛いのか分からず見当違いの歯ばかり治療をしていたのだ。挙句は親知らずかも知れないという事になって手術のような感じで親知らずまで掘り出して取ったと言うのに。どうして痛みが無くなったかというと虫歯が進行するところまで行ってしまって神経が全部死んでしまったのだから痛くなくなっただけの話である。
 元々は痛い歯が特定できず上下反対の歯が痛いといった事から混乱が始まったのかもしれない。私の歯は詰め物ばかりで全部開けてみないとどの歯が悪いか分からない。特に初期段階ではレントゲンでも分からないのかもしれない。そうなると患者の痛みだけが頼りだ。しかし下の歯が痛いとき上の歯も少しでも異常があれば一緒に痛み出すのは珍しい事ではないらしい。で逆の歯が痛いと言ってしまったので痛みの原因が分からなくなりあっちこっちと原因を探るハメになってしまったのである。
 しかしまぁ済んでしまった事である。けれど現代歯に詰め物がある人は多いと思うのだ。詰め物に隠れて虫歯が進行する事はそれほど珍しい事なのか。歯が痛いと患者が歯医者に訪れる時この事例に対する対処は確立されていないのかというのが疑問である。歯に詰め物がある人は缶コーヒーに注意しよう。しかしこの時の歯痛は凄いものだったのだ。痛みの為に何もできない。立ってもいられない。歯医者に行っても原因不明で具体的な治療がされなかった時は途方に暮れるばかりだったのだ。