視覚の秘密なんてね

先日道を歩いていたら前方に鳥が逆さまになって死んでいるのを見た、と思ったのはただの枯葉だった。しかし私は最初黄緑の鳥が仰向けなって道に落ちている所を見たのである。正確に言うとまさにそう見えたのである。その被写体をまさにそう認識したのである。人は何か不明なものを発見すると今までの経験からから一番近いものを引きずり出してこれは何々に違いないと認識するようである。その色と形がまさに鳥が仰向けになっている状態に似ていたため想像で補った部分もありながらまさに鳥が仰向けになった形を視覚の中に置いたのだろう。やがて近づくと仰向けになった鳥とは誤差が大きくなりたちどころにそれは却下され認識は枯葉に差し替えられたのであった。あとはどう見ても枯れ葉である。近づくたびにディティールは補強され枯葉の確信は強固に固められもう他のものに変更は不可となる。それが宇宙人が用意した未知のオブジェとしてもそれは巧妙に偽装され普通の人間には判別不可能であるなら私はそれを枯葉以外の何物にも認める事はできない。しかしだからといって私がはじめに見た鳥の死骸は幻だったのかというと違うような気もする。誤認識といわれればそうなのだが私の中には確かに一羽の死んだ鳥がいたのである。それはきっと5次元の彼方に消えてしまったのではないのだろうか。