暑いのでポニョの感想でも

年寄りの作品にケチ付けるのも野暮てもんだ。母ちゃんの運転が荒っぽいとか無謀すぎるとかいう文句も見かけたがファンタジーなんだからそんな枝葉末節気にしても仕方がない、と言いながら見ながら居心地悪さを禁じえなかった。それは誰かが言っていたようにリアルさの確定ができないからのような気もした。つまりアニメにおける飛び降りた時死ぬアニメなのか死なないアニメなのか。従来アニメと言ってもこの辺の世界観はしっかり分けていなければならず死なないならそれを守っていかなければならずそれを混ぜる事は難しい。
 でポニョは飛び降りた時死ぬのかどうかハッキリしないのが居心地の悪さをもたらした。車の動きは結構リアルでその延長で事故れば死んでしまう感じもあるし、派手な動きは死なない感じも与える。中でもポニョは何でもできる絶対的な存在になっているし絶対死なないような感じだ。
 で結局これらのことはどうでもいい事で、この映画のメッセージはただ一つ、三つ子の魂百までじゃない5歳児の想いは世界を変える、ということでいいのではないだろうか。5歳の時考えた事はただの子供の考えというだけじゃなくて世界をも変える力を秘めているんだよ、だからその想いを大切にして自暴自虐にならないでその想いをずっと抱き続けている事。少なくても私はそうして世界を変えたんだよというメッセージになっているのだろう、多分。それが人生残り少なくなった人からこれからの人生を生きていく人達への遺言なのだ。だから子供たちに向けて描かれたこの映画はぜひ子供たちに見てもらいたい映画なんだろうということ。5歳の人間は既に世界に対峙しているしその時の想いは永遠のものだよという事でその他の事はどうでもいいんだよ。でやっぱり当事者の子供にすればそれ程見たいという映画じゃないんだろう。だからと言って親が勧めるというのもちょっと違うかも。じゃこれは誰にとっての映画なのか。やっぱり宮崎駿の自己満足の映画じゃないのというのがFA。トトロほどキャラが立っていないので興行的にも苦しいかも。