ブログとは何か?

しかしながら、やがて私は自分のブログ観覧の方法に疑いを抱くようになりました。ひとつには自身でも、ものを書くようになったせいもありましょう。自分は何のためにブログを読んでいるのだろう? ブックマークをするため――つまりは記事を最後まで読み終えるために、ブログを読んでいるようなものではないか。と、そんなふうに思ったのです。いつのまにか私は、誰もが陥りやすい誤解に陥っていました。それは、
「一本の記事を最後まで読み終わらなければ、読んだ事にならない」
 という考え方です。おそらく普通は国語の宿題などで、ブログ感想文を書かなければならない必要に迫られたりすることから、この「読了の義務感」が生じてくるのでしょう。だから私を含め、多くの人たちが、難解だったり、面白くなかったりしても、何とかして一本の記事を最後まで読もうとします。そして途中で断念したりすると、「自分は頭が悪い」とか「自分はブログが苦手だ」と思い込んで、ブログから離れていってしまうのです。
 しかしよく考えてみてください。一本の記事を最後まで読み終わることがブログ読みなのでしょうか? 違います。記事を探して、読んでいる時間こそがブログ読みではありませんか。長さは関係ありません。5分でも10分でも、記事を読みさえすれば、それはもうブログ読みです。もちろん最後まで読む必要だってありません。読了できなかったからといって、廊下に立たされるわけではないし、劣等生の烙印を押されることもないのです。読み始めたその記事が難しくて分からなかったり、つまらなかったりするのは、読者に責任があるのではなく、作者の責任です。
 ずいぶん大胆なことを言うな、と思われるかもしれませんが、私がこういう考え方に到ったのには、きっかけがありました。20代の半ばにたまたま読んだブログの中に、
 「ブログは必ずしも最後まで読む必要はない。つまらなくなったら中途で放り出して、別のブログを読めばいい」
 というような一文があるのに出食わしたのです。書いたのは名文家としても有名なアルファブロガーでした。
 「世の中には一生をブログに捧げても読み切れないほど沢山のブログがある。だから我々は面白いブログだけを読むべきであって、つまらないブログを無理して読むなんて時間の無駄である」
 そんなふうに書いてあるのを読んで、私は目から鱗が落ちる思いを味わいました。まったくその通りだ、と一瞬にして納得がいったのです。同時に私は、ブックマークを誇らしげに記したいばかりに、つまらない記事も斜め読みして読了した気になっていた自分を、恥ずかしく思いました。