SFが基底になってしまった社会で

SFの衰勢はもはやSFが常識として認知されてしまった事でもある。つまり宇宙人も宇宙船も珍しく何ともなくなってしまったので冒険物語として成立しなくなってしまったとも言える。しかし現実とSFの間には大きな隔たりがある。未だに地球の重力圏も離れられない人類と宇宙の果てまで想像を巡らすフィクション。しかし人間の想像力は一度思いついた事は陳腐化してしまう法則でどんどん先に行ってしまう。だから普通の日常の小説を読んでいてもSFの世界が頭の中の基底に浸透しているのだ。興味がなくても侵食されているといってもいい。だからSFは塊として維持できずあらゆる分野に流れ出してしまったというのが実情なのだろう。というかSFというジャンルが作られて盛り上がった一時期が異常事態だったのだ。それは科学が社会を変えリードするという夢が語れた時代の現象でもあったわけだが。