新聞社説の気持ち悪さ

中の人は気づかないかもしれないが社説の言い回しは相当気持ち悪くなっている。これは時代が変わったのに今までの新聞の論調がまったく変わっていない事から起こるズレのようなもので思わず真面目な社説が落語を聞いているような可笑しみにつつまれてしまう。この気持ち悪さが原因で読者離れが起きている側面もあるのに(少なくても新聞の偉そうでいて媚を売るようなものいいが気持ち悪いと言って購買を止めた人をブログ等で二、三名は見た)気づかないでいるとしたら相当やばい状況である。ではどう変えたらいいのか社説を添削してみることにした。元文は今日の朝日社説を使用。まったく余計なお世話である。


電力不足―この夏は過ぎてしまった

 空前の猛暑になった今月も、もう終わり。心配された電力不足も何とか乗り超えたが来夏以降も同じ状況が繰り返されそうだ。首都圏の電力使用はぎりぎりの運用を迫られている。

 エアコン使用がピークに達した22日、東京電力は特別の契約をしていた大工場などへ電気の使用を控える要請をした。これは17年ぶりのことになる。

 来夏以降どんな対策を立てられるのか今年の反省は無かったのか考えてみたい。

 ご存知の通り7月の中越沖地震で、東電の供給力の1割以上を担う柏崎刈羽原発の7基が全部停止している。どこが壊れたかまだ点検も済んでおらず、修理して発電をすべて再開するまでには2年以上かかるという専門家の意見。

 地球の温暖化防止を考えると、石油や石炭など化石燃料を使う火力発電所を大きく増やすのは難しい。その点で政府は原発の有効性に期待しているが、中越沖地震はその流れに待ったをかけた。

 今までの原発は集中して立地させるので、大規模地震が起きれば発電が一斉に止まる。修理費を含めれば発電コストが安いとは言えず、大事故の危険性もある。中越沖地震をきっかけに、原発のあり方を根本的に見直さなければならないだろう。

「集中型」発電ではなく、これからは「分散型」に力を入れていけばどうか。小型原子力発電を全国に配置する、「あなたの街にも原発を」キャンペーンを実施するのだ。そうなれば一カ所で地震が発生しても停まる原発の規模は小さく影響は限られる。他の原発からの支援も容易である。これこそネットワーク型分散システム原発である。

 この小さな日本で東と西で周波数か異なるのも効率がよくない。最近の電気機器は両周波数に対応するものも増えているので思い切って周波数を統一するのもそれほど大変ではないのではないか。無駄な変換などしないで供給に融通を持たせた方が良いだろう。

 また使用側の反省点も多かったように感じる。東電管内では、猛暑時に気温が1度上昇すると需要が170万キロワット増えるとのこと。クールビズも思うように進まず、エアコンの設定温度28度もどこまで守られたか疑わしい。とくに大多数を占める中小企業ではまだまだ使い放題というのが実感である。クールビズやエアコンにももっと厳しい規制が必要な段階に来ているのではないか。猛暑時には電力へ特別料金を課すのもアイデアである。

 電気は無限のエネルギーではない。もっと電気の使用を真剣に検討する時期に来ている事を示している。これは本当に必要な電気なのか、無駄に使用していないか国民の本気度が問われる時代に来ているのだろう。


原文はこちら
http://www.asahi.com/paper/editorial20070829.html#syasetu1

電力不安―この夏は乗り切ったが

 空前の猛暑になった今月はなんとか乗り切った。では、来年以降の夏に向けてどんな手を打っていくか。首都圏の電力供給が重い課題を抱えている。

 冷房需要が積もり積もって電力需要がピークに達した22日、東京電力は特別の契約をしていた大工場などへ電気の使用を控えるよう要請した。この「奥の手」を使ったのは17年ぶりのことだ。

 深刻なのは、供給不安が来年以降も続くということである。

 電力不足の原因は暑さだけではない。7月の中越沖地震で、東電の供給力の1割以上を担う柏崎刈羽原発の7基が全部停止しているからだ。どこが壊れたかの点検もまだ済んでいない。修理して発電をすべて再開するまでには2年以上かかると専門家はみている。

 地球の温暖化防止を考えると、石油や石炭など化石燃料を使う火力発電所の増設計画を大きく増やすのは難しい。その点で政府は原発の増設に期待しているが、中越沖地震原発のもろさをはっきりと示した。

 原発は集中して立地させるので、自然災害が起きれば発電が一斉に止まる恐れがある。修理費を含めれば発電コストが安いとは必ずしもいえないうえ、大事故につながる危険も切実になった。中越沖地震をきっかけに、原発のあり方を根本的に再検討すべきだ。

 原発に代表される「集中型」発電とは別に、これからは「分散型」に力を入れていきたい。ビルや家庭ごとに燃料電池太陽光パネルを設けて発電する新エネルギーである。風力発電もある。利用が増えれば技術開発を促し、より効率の高い装置が出てくる。この歯車を回すために、利用を誘導する政策をとっていくべきだろう。

 電力会社には、東西間で電力を融通する能力をアップさせるよう求めたい。日本の電力は東西で周波数が異なり、変換装置を通さなければ東西間で送電できない。西日本の電力会社には供給余力があるのに、変換許容量はわずか100万キロワットしかない。これでは、効率的な電力供給網を築けないし、もしものときの助けにならない。変換能力を大幅に上げる投資を急がねばならない。

 一方で、需要側の節電努力も大切だと実感させられた。東電管内では、猛暑時に気温が1度上昇すると需要が170万キロワット増えるそうだ。クールビズ運動が普及し、空調の設定を28度に、という政府の呼びかけを実践したオフィスが多い。今後は、集客のため冷房をきかせている商業施設も設定温度を見直したり、夏休みをもっと分散するよう経済界が工夫したりできないものか。

 電力需要の3割を占める家庭の責任も大きい。省エネ化された電気製品への切り替えを含め、思い切った節電策に取り組みたい。電力供給の不安をなくすためだけでなく、地球温暖化の防止にも役立つはずだ。